平成26年 山行記録

笛吹川東沢〜釜ノ沢東俣-甲武信ヶ岳
(沢登り)

 日 程  : 平成26年7月24日〜26日
 パーティ : 
宮崎、高橋(忠) 井上   記録:高橋(忠)


 

 

今年,3度目,先週に続いての沢登りだが沢の中でのテント泊は今回が初めてである。以前この沢に来たことのあるリーダーの宮崎さんの話によると,イワナがいないので焚き火を囲んでイワナの塩焼きを食べる楽しみは無いが,とにかく美しい沢だとのことである。

 ●行 程
 24日(木) 小見川19:00発〜勝沼IC−西沢渓谷入口駐車場テント泊
 25日(金) 西沢渓谷入口駐車場発5:45−休息7:00〜7:15−入渓点7:50〜8:15
        −乙女ノ沢出合9:00〜9:10−西のナメ沢9:55〜10:15−釜ノ沢出合10:30
        −休息11:30〜11:45−両門ノ滝12:20〜12:40−テン場(広河原)13:05
 26日(土) テン場4:46−休息5:35〜5:45−休息6:25〜6:35−休息7:05〜7:15
        −ポンプ小屋7:50〜8:05−甲武信小屋8:20〜8:25−甲武信ヶ岳8:40〜8:50
        −甲武信小屋9:05〜9:20−木賊山9:40〜9:45−休息10:30〜10:45
        −休息11:25〜11:35−徳ちゃん新道分岐11:40−休息12:25〜12:35
        −徳ちゃん新道入口13:00−西沢渓谷入口駐車場着13:25
        白龍閣で入浴後−勝沼IC−香取佐原IC−小見川

 前夜,西沢渓谷入口駐車場でテン泊。我々の車だけで貸しきりである。きれいなトイレのすぐ近くにテントを張って仮眠。翌朝4時起床で,朝食を済ませ,5時45分に出発。しばらくは林道歩きだ。入口にゲートがあり一般車は入れない。頭上に雁坂みちの赤い橋脚,眼下に笛吹川を見ながら進むと林道の分岐にきれいなトイレと案内看板がある。分岐を右に進んでいくと,西沢山荘(閉鎖中)が見えてくる。その手前に徳ちゃん新道の入口がある。帰りはこの徳ちゃん新道を下ってくるのだ。

 西沢渓谷は,山荘の前から林道を離れ左の経路に入っていく。西沢渓谷入口(←)という看板があったのだが,林道を真っ直ぐ行ってしまい途中で引き返してきた。二俣吊り橋中央から右手(上流)に岩峰剥き出しの鶏冠山がきれいに見える。なるほど山の形が鶏のトサカ(鶏冠)に見える。吊り橋を渡ってすぐ,西沢渓谷の看板があるところから右側に入っていく。10分足らずで鶏冠谷出合に到着する。対岸に渡渉し,ここから何度か渡渉をしながら古い登山道を行く。黒いビニールでおおわれた直径1cmほどの電線のようなワイヤーが径路に沿いながら続いている。

 上り下りを繰り返しながら山ノ神を目指して進むがだんだんと踏み跡が薄くなってくる。人気の沢にしては,山ノ神までの巻き道は,けっこう荒れている。小高い岩の上に小さなお社:山ノ神(私だけが気づかなかった)があり,この少し先から入渓。ここから本当の沢歩き開始です。

 遡行を開始してしばらくすると,左側に乙女ノ滝(乙女ノ沢)が現れる。流れている水は少ないがスラブのけっこう豪快な滝だ。乙女の名前の由来がわからない。近くに乙女高原・乙女湖があるが関係ないか。更に進むと,右側に垂直に切り立った岸壁が現れる。イワツバメだろうか,たくさんの鳥が飛び交い,岩の割れ目に出入りしている。しばし見とれてしまった。沢は所々,腰まで浸かるところもあり,水量も少し多いように思う。

 続いて,右側に白い岸壁が眩しい東のナメ沢が見えてくる。遠目には緩やかに見え,滑ってみたくなるが,近づくと思いの外,急で険しい。とにかく,水が透明できれいだ。エメラルドグリーンかブルー系の透き通った水は今まで見たことがない。周りの風景,緑の釜,一枚岩のダイナミックな滝,真っ白なスラブの縁を歩いたりと,とても癒やされる。
 東のナメ沢の先,左側に西のナメ沢が現れる。西のナメ沢では,沢から滑りおりて,しばし水遊びに興じてしまった。もっと高いところから滑りたかったのだが,足元が滑って上れなかった。 うーん,とても気持ちがいい!!

 西のナメ沢を過ぎると間もなく,金山沢、釜の沢の分岐。岩壁の表示を見落とすと,本流である釜の沢が鋭く右に折れ曲がっているのでうっかりすると金山沢に入ってしまう。
 釜の沢に入ってゴーロを少し進むと,最初に出合う大きな滝が,魚留ノ滝。以前,宮崎さんが来たときは直登できたと言っていたが,今回は水量も多く,諦めて滝のやや左側を登る。私も続いたが登れなかったので,宮崎さんに,お助け紐を垂らしてもらう。さすがはリーダー。だてに毎週のようにクライミングの練習に行ってはいない。ちょっとしたところで実力の差が出てしまう。まだまだ,初心者だなとつくづく思う。

 魚留ノ滝 


 我々が左側の壁を登り終えた頃,若者の3人グループがやってきたが,我々は滝を巻いて先に進んだ。魚留ノ滝を越えると千畳のナメが始まる。どこまでも続くかと思われるような長ーい千畳のナメ。流れの中をヒタヒタと気持ちよく歩く。

 さらに,ナメ滝,曲り滝,ゴーロなどが続き,目の前が大きく開けると,両門の滝(一つの滝つぼに二つの滝が落ちてくる珍しい場所です)に着く。左が西俣,右が東俣。まさに"門の滝""滝の門"で、左右均等の水量がナメ滝をすべり落ちる様は、例
えようもないほどに美しく、しばし見惚れていた。我々が目指すは,この東俣の方だ。

 両門の滝 


 ここを抜ければ本日の行程の終了地点,広河原だ。名前の通りごろごろとした石で敷き詰められた広い河原だ。
 テントを張る最適な場所を見つけ,3人用のテントとツェルトを張る。ツェルトは,ザックなどの荷物置き場だ。2時前には準備ができてしまった。この頃やっと,魚留ノ滝で我々に追いついてきた若者たちがやってきた。ずいぶんと魚留ノ滝で手こずったようだ。話を聞くと,今日中に頂上まで行ってしまうようだ。若い人たちは,元気だと感心しながら,薪を集めて,焚き火の準備。一段落したところで,コーヒータイム。イワナ釣りもできないので時間をもてあそんでしまう。やることもないので早めに焚き火を始め,ビールで乾杯し,酒を飲み始めるが,やはり焚き火にイワナは付きもの。イワナが無いと物足りない,酒が進まない。
 ということで,早めに寝ることにした。明日は朝も早いし。それにしても,ああ,イワナの塩焼きが食べたーい。

26日
 朝早く起床し,朝食・テントの撤収・沢装備をして,4時46分に出発。この先まだまだナメの滝,急なナメの斜面,尾根の高巻き,トラバースが続く。上流になってくると倒木も多くなってくる。やはり,今年の大雪のせいなのだろうか。どの沢へ行っ
ても倒木が多い。沢も終わりに近づいた頃,左側に崩壊し裸地となっている広い斜面が現れる。最初そちらがルートだと思い,登っていくが,ガレ場で足元が崩れていく。

 慎重に少し登ったところで,井上さんが右手,樹林の中に小さな小屋を発見。最後の急登をひと頑張りして,ようやくポンプ小屋に到着。ここで,沢装備を解除していると,昨日の若者グループがやってきた。話を聞くと,昨日は頂上まで行かずに,沢の途中でビバークしたとのこと(タープを張って焚き火の周りでごろ寝したらしい。私は,少々荷が重くてもテントがいい)。我々が朝その前を通過していくのを見たと言っていた。我々は誰も気がつかなかった。

 一足先に出発し,ポンプ小屋から上の登山道を登る。こちらの斜面は日陰になるのか,シャクナゲの花がだいぶ咲き残っていて,とてもきれいだ。登り上げた尾根の向こう側の甲武信小屋に到着。大休止の後、ここに荷物を置いて手ぶらで,甲武信ヶ岳のピストンに向かう。
 頂上に着くと,5〜6人の人が休憩していた。沢の若者たちも先に到着していた。天気が良く,良い眺めだ。富士山も大きく見える。記念写真を撮り,甲武信小屋へ戻る。

 ここから木賊山経由,徳ちゃん新道を下り西沢渓谷へと向かう。急な登り(ガレ場もある)を20分くらい行くと,樹林に囲まれた中に標識があるだけの木賊山に到着する。
 両側の大きなシャクナゲの木に囲まれ,シャクナゲのトンネルのような登山道(花の最盛期に来てみたい),更に急勾配の下り坂と続き,約2時間で徳ちゃん新道分岐に到着。

 左が近丸新道,右が徳ちゃん新道。明るい尾根コースの徳ちゃん新道を下る。途中,西沢渓谷から登ってくる登山者:中高年の単独行,若いカップル,若者のグループなどとかなり出会う。さすがは関東近郊の百名山だなと感心する。でも,この登りはかなりきついと思う。甲武信小屋を出発して,3時間40分,ようやく徳ちゃん新道登り入口に到着。あと少しで駐車場だと思ったのだが,なかなかたどり着かない。時間にして25分くらいであったが,下りで疲れ切ってしまい,この林道歩きがとても長く感じられた。帰りは,笛吹川の清流沿いの三富温泉郷「白龍閣」で入浴し,帰宅した。