平成25年 山行記録

薬師岳・赤木沢

 日 程  : 平成25年8月1日〜5日
 パーティ : 
宮崎、遠藤、高橋(忠)、井上、水野


 

 

今年の夏山合宿は久しぶりに北アルプスになった。赤木沢は大昔に夏山合宿を実施した所であるが、その時は参加できず、残念に思っていた。宮崎さんは5年前に登っているので、申し訳なかったが他のメンバーは初めてであり、黒部の源流のひとつを登れるのは魅力的である。今回は計画が3泊4日となった為、参加できなくなった人達がいて申し訳なかった。

 8月2日、登山口の折立の駐車場はすでに満車で臨時駐車場へまわる。空は明るいのだが小雨が降っている。しばらく待ってみたが止みそうもないので、カッパを着て歩き出す。荷が重い、小屋泊まりと思われる人達に次々と追い越される。
樹林限界を過ぎた辺りで雨もやみ、石畳の道をひたすら登る。20代の頃この道を歩いた時は、太陽にあぶられ暑くて参った記憶がある。バテて来た頃、薬師峠の小屋が見えてきた。小屋の周りはたくさんの人で賑わっていた。
 テント場も賑やかである。若い人達が多いので何となく活気がある。まあまあの場所を見つけて我々もテントを張る。
   

8月3日、朝一にテントを空いた一等地へ移動する。今日は昨日の疲れを取る為、薬師岳往復の半日コースにした。井上さんは、薬師岳は2度登っていると言う事で、予定通り釣りに行く。朝から快晴である。樹林帯を抜けると高山植物が姿を現す。チングルマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ等おなじみの花々が登山道の両脇に咲き誇る。
 高度が上がるにつれ北アルプスの山々の展望が開けてくる。目の前には雲ノ平とそれを取り囲む山々、遠く槍穂連峰もくっきりと見える。日本海側は一面の雲海でその向こうには日本海が広がり水平線まで確認できる。北アルプスの稜線漫歩、至福の時である。薬師岳頂上は沢山の人で賑わっていた。頂上からは立山、剣岳、後立山連峰がくっきりと望める。北アルプスのど真ん中にいる感じである。
のんびりお茶にして豪華な景色を楽しむ。

 下りは花の写真を取りながらのんびり歩く。先行した3人に30分ほど遅れてテントに戻る。早くも宴会の前哨戦が始まっていた。テント前でのんびりしながら井上さんを待つ。15:00を目安に戻ることになっていたが、時間が過ぎても姿が見えず、少し心配になってくる。15:30になったので迎え(捜索)に行くべく登山靴をはき準備をしていたら、漸く井上さんの姿が見えてきた。ほっとする。沢からの登り返しが予想以上にきつく時間がかかったようだ。釣果は何と9匹も釣ってきた。捌きもしてきたと言う事で、なんと夕飯には岩魚のから揚げを食べさせて貰った。井上さんには今合宿のすべての食当を一人で引き受けてもらい、尚且つ岩魚の調達までしてくるとは、恐れ入りました。

 8月4日、今日は合宿のメインである赤木沢の遡行、夜明けとともに出発する。テント場から薬師峠へ登り返し、黒部川に向かってぐんぐん下降する。
薬師沢小屋のテラスで沢支度をして、梯子で黒部川の河原に立ち遡行開始。宮崎さんの話では以前来た時より水量が多いと言う事であった。おまけに途中で雨も降りだして、カッパを着ての遡行となる。水圧に緊張しながら何度か渡渉をし、赤木沢出合いへ着く。途中単独行の若い人が引き返してくるのに出会い話をした。不安になって引き返してきた様だが私達が行くことを知り、再び赤木沢へ向かう事になった。今日中に折立へ降りるとの事であった。赤木沢に入った所で1パーティが休憩していた。我々もここで大休止、このパーティとはこの先前後しながら、遡行する事になった。

 雨も上がり、水量の多かった本流から離れたこともあり、楽しめる沢登りが始まる。きれいな滝を次々と越えていく。斜面にはキスゲ等の花々も現れ、開放的な明るい沢で、時間の経過や疲れを感じないまま、最後の大滝の所まで来てしまった。大滝をバックに記念写真を撮り、高巻にかかる。草付きだが雨にぬれ下はぐしょぐしょでいやらしい。宮埼さんがトップで登りロープを固定してくれる。ロープを頼りに慎重に登るが結構な高度感がある。ここを過ぎると沢は詰めの様相となり、最後の二股を右手にとると、やがて水も消え、殆ど藪漕ぎもなく気持ちが良い草地に出る事が出来た。ここで沢装備から登山靴に履き替える。今登ってきた赤木沢の谷を見下ろしながら大休止にして、腹ごしらえをする。

 ここから稜線までが大変であった。高山植物が咲く草地の傾斜はかなりきつく歩きづらい。目標にした稜線の雪田はなかなか近づいてこない。登山道に出た時にはバテバテであった。更に北ノ又岳への登りが続き、山頂に着いて漸く主な登りは終了となりほっとする。このあたりから他の4人のスピードに付いていけず、だんだん遅れてしまい、迷惑をかけてしまうので、薬師峠までの目途がついた所で4人に先行してもらい、のんびり歩くことにした。

 登山道沿いにはチングルマのお花畑、正面には薬師岳がどっしりと見える。太郎兵衛小屋が見えた辺りから雲行きがおかしくなり雨粒が落ちだす。小屋の立派なトイレの建物に逃げ込んだころには、本格的な降りとなった。ここでカッパを着け小降りになるのを待って、テンバへ向かう。テントでは夕食の準備が進んでいた。長い一日であったが、充実した楽しい一日でもあった。
 
 8月5日
 テント撤収時には止んでいたが、雨模様の中、カッパを着て下山開始。昨日他の4人とのスピードの差を痛感したので、今日は私が先頭を歩かせてもらった。登ってくる人が多いので道を譲らねばならず、おまけに樹林帯の中は雨でぬかるんだ道が続き歩きづらい。雨も上がり疲れが出てきた頃、折立に着いた。
 
今回の合宿では久しぶりに北アルプスの稜線を歩く事が出来、懐かしい風景に再会出来ました。宮崎さんのリードで赤木沢も登ることが出来、感謝です。参加した仲間は皆60代ですが、私を除き十分な基礎体力と気力があると思いました。
案内役を引き受けてくれた宮崎さん、黒部の岩魚を一人で釣り上げた釣り師の井上さん、最も重い荷を担ぎあげてくれた忠さん、エンジン好調の遠藤さん、皆さんありがとうございました。


コ−スタイム

8月2日
 折立9:50― 五光石ベンチ14:35〜14:45 ― 太郎兵衛小屋15:55― 薬師峠キャンプ場 16:15
8月3日
 薬師峠キャンプ場7:00 ― 薬師小屋8:35〜8:50 ― 薬師岳山頂 9:45〜10:50 ― 薬師峠キャンプ場 13:05
8月4日
 薬師峠キャンプ場4:40 ― 薬師沢小屋7:25〜7:45 ― 赤木沢出合9:25〜9:45 ― 30M滝上12:05〜12:30 ― 
 草原(靴履き替え)13:25〜13:45 ― 稜線14:40 ― 北ノ俣岳山頂15:45 ― 薬師峠キャンプ場 17:45
8月5日
 薬師峠キャンプ場 7:05 ― 太郎兵衛小屋7:30 ― 折立 11:10