平成24年 山行記録

流石山〜大倉山

 日 程  : 平成24年8月23日〜24日
 パーティ : 
内田 
(記録:内田)  


 

大峠への道は、江戸時代の一時期、会津と江戸を結ぶ会津中街道(松川街道)であった道で、石畳となっている。
 石畳が終わった所から近道に入り、短い急坂を登り切ると那須大峠だ。 「一人旅を楽しんで...」と言う高橋さんら、井戸沢へ行く4人を見送ったあと、新旧のお地蔵様の写真を撮ったり、これから登る流石山を眺めながらゆっくりしてしまった。那須連山の中で唯一の花の山として知られる流石山だがもう9月も近いし、期待はしていなかったのだが...。

 朝露を含んだ笹藪の中の細い登山道を登り始める。高度を上げるとザレた道に変わるが、斜面は思いがけず、いろいろな花が咲いている。ハクサンフウロ、ウツボグサ、ヤマハハコ、ウメバチソウ、オヤマリンドウ等々。実をつけたニッコウキスゲも沢山あり、7月の見ごろの時季はどんなにか素晴らしいことだろうと思う。 振り返ると向いの三本槍岳へ続く尾根筋が見える。茶臼岳も高度が上がる度に見え方が変わり、真っ白な噴煙を上げる雄大な姿が見事である。はるか下の方には三斗小屋温泉の屋根が光って見える。

 流石山の山頂が近くなってくると、大倉山に連なる稜線が見えてくる。 この辺りから見る流石山から大倉山に続く稜線が素晴らしい。 ほどなく1812mの標柱と三角点のある流石山山頂に到着。 山頂に一人で立つのは何と気持のいいことか。 この山頂もここからの360度のパノラマも、今は私一人のものだ。なぜか、とても嬉しくて、平らな山頂をスキップで一周してしまった。
   ザックの上にカメラを置き、大倉山へ向かう前に一人記念撮影をする。後ろからの強い陽差しを浴びながら、大倉山への稜線を気持ちよく歩く。 時折、かすかに頬を撫でる風が爽やかだ。南側には、沼原池が異常なほど高くに見え、その右下に深山湖も見える。 井戸沢組の皆んなは、この辺りの稜線に登ってくるのだう。

  流石山から50分程で「キスゲ小沼」、さらに5分程で「五葉の泉」だ。澄んだ水面に青空と周りの木々がさかさまに映って、とてもきれい。北西には急俊な斜面を持つ三倉山の眺めが見事だ。  シャクナゲなど、背丈ほどの木々の間を縫って行くと、まもなく大倉山山頂である。 ハイマツやシャクナゲに覆われた、狭い山頂には1885mの標柱。 周りの木々も、木陰になるほどの高さはなく、風も通さないので、暑い、とにかく暑い!

  休憩もそこそこに出発することにする。山の上での合流は楽しい。三倉山まで行き、時間調整をして、井戸沢組と稜線で合流するのが理想だが、今日は「大気の状態が不安定で、午後は雷雲が発生するかも知れない」という予報なので、大倉山までで戻ることにする。少し前にあった、北アルプス槍ヶ岳などの雷の事故を思うと、やっぱり怖いから。往きとは違う方向からの景色を楽しみながら流石山に向かっていると、急に谷の方からガスが湧き上がってきて、あっという間に青空が隠れてしまった。 「うわー、予報があたってしまった!」 素晴らしい稜線も、逃げ場のない最悪の場所になってしまいそうで、足早に流石山まで戻ってきた。 スキップまでして楽しんだ山頂ものんびりできず、井戸沢組の人達に目立つようにメモを残して、早々に下り始める。
 すると、だんだん雲も上がり、また青空が戻りほっとするが、同時に、早々に下り始めたことが少し悔やまれる。、 のんびり、花の写真を撮りながら下っていると、下から登って来る人影。みんなと別れてから初めて人を見る。「これから登る人もいるんだ」と思って時計を見ると、まだ12時にもなっていなかった。あー、稜線でもっとゆっくりしたかったなあー。
 久しぶりの、一人山歩きは最高でした。