平成23年 山行記録

森吉山

 日 程  : 平成23年6月9日〜12日
 パーティ : 佐藤、遠藤、水野、高橋(忠)、高橋(恵) 


 

大震災のせいで4月の山スキーもGWの山行も、バス山行も取りやめになった。原発と度重なる余震で、気持ちがざわついてとても山に行くことなど考えられなかった。が、時間の経過と共に、気持ちが落ち着いてくると、やっぱり山へ行きたくなった。とは言うもののこんな時にのん気に山へ行ってていいのか? と後ろめたい気持ちがあり、複雑な心境だった。

 今年の山菜山行は3度目の森吉山。H18年の夏山合宿時にベースを置いた森吉親子キャンプ場を今回もベースにして、山登りと釣りを楽しむ計画だ。私は夏合宿には参加しなかったので、このキャンプ場には1度泊まってみたかったのだ。山また山のその奥。大木のブナの森を背に広々とした芝のテントサイト、山々を見渡すロケーション、整備された炊事棟&トイレ。おまけに炊事棟の奥の6畳程のスペースに陣取った毎年泊まりがけでタケノコ採りに来ていると言うおじさんの計らいで、炊事棟の照明もピッカピッカ。他のパーティは離れた別の炊事棟付近にいるので迷惑をかけることもかけられることもない。この炊事棟を自分の家のように使い放題、荷物も広げ放題。テントは寝るときのみとなった。これで使用料はなんと無料! 申し訳ないようだ。

 10日。キャンプ場に着いたのが10時を過ぎていたので山に行く時間はない。桃洞滝か赤水沢で遊び、その後クマゲラ保護センターの下流辺りで釣りの予定。桃洞の滝までの遊歩道が意外に時間がかかり、桃洞滝はパスして赤水沢を1時間ほど遡って帰って来ようと言うことになった。 赤水沢は今も舗装道路のように平らだった。見上げる両岸はスラブ状で雨が降ったらたちまち増水してしまうだろう。H9年の秋、イワナのつかみ取りをした辺りまで行ってみたかったが、そんな時間は無さそう。適当なところで引き返す。
 「前回はここで釣れた、絶対釣れるよ!」と軽くプレッシャーをかけられ遠藤さんから譲られたポイント。流してみると、早速グググっと! えっ、もう? あら、ホントに釣れちゃった!  再度ながしてみると、またも当たりが、2匹目ゲット。幸先が良いわいと思ったが、その後は場所を移動しても釣果は無く、最後は根がかりで終了。釣れた後でいつも思うこと。獲物の取り込み方が上手くいかない、美しくない。嬉しいせいもあってか何かバタバタ、モタモタしてしまう。リズム良く、一連の流れのなかでスムーズに作業ができたらいいのに。釣り師へ
の道は遠い・・・
 さあ「お家」に帰って夕餉の支度。私が2匹釣るくらいだから、みんなは3匹4匹と。多くてさばくのが大変! だめだよぉ、こんなに釣っちゃ! ビール片手にタケノコの皮をむく人、イワナをさばく人、天ぷらを揚げる人、食事前の面倒くさくもあり、楽しくもあるひととき。ウドの天ぷら、タケノコの天ぷら、コンビーフ炒め、イワナの唐揚げ、etc と山の幸満載のつまみにテンションも上がる。食べて飲んで、飲んで食べて・・・夜は更ける。

 11日、今日は森吉山へ。ヒバクラ登山口まで車で移動。シーズンとあってタケノコ採りの地元の人の車でいっぱい。駐車場ではすでに皮むきに精を出しているおばちゃんもいる。熊除けに大きな音でラジオをかけているのでなかなか賑やかだ。笹藪の中を覗くと食べごろのタケノコがいっぱい。帰りの楽しみにして、先へ進む。
登山道近くから人の気配が消えると、辺りは立派なブナの林。花はあまり咲いていないがコシアブラがたくさん有り、今夜も天ぷらができる。楽しみ! 立川源流展望台を過ぎ、オオシラビソに代わると残雪が出てきて、夏道が消えてしまった。ガス模様で見通しが利かない。このコースを登るのは2度目なのだが、記憶がない。前は雪が無かったし。うーん? しばらくうろうろして赤テープ発見。小さな流れを越えて右折。しばらく進むと道は樹林の階段状の直登となる。ここは何となく覚えている。
木の根や土留めの丸太が歩きにくい。もくもくと登る、我慢、我慢!
ヒバクラ湿原に出ると道は木道になり、分岐を右に進むと山人平を経て山頂方面へ。晴れていれば頂上が望めるはず。一旦緩く下ってオオシラビソを上り返せば山人平の明るい空間に出る。期待していた森吉随一のお花畑も今は寂しい限り。チングルマの群落もまだ咲きそうになかったが、この先の湿原ではミズバショウの群落がきれいな花を咲かせていた。ここを回りこむと頂上まで真直ぐに雪の上を登る。なかなかの急登だ。登山道はたぶん泥道だろうとの予想から長靴で来てしまったが、雪渓の上はちょっとつらい、滑らないように気をつけよう。
一部わかりにくい箇所もあったが、無事山頂に到着。ヒバクラ口からの登山者は他にはいなかったのに、山頂は結構賑わっていた。スキー場のゴンドラを利用して上がってくる人が多いのだろう。1時間半位で来れるらしい。雨混じりの冴えない空模様だが周囲の山々は見える。小さな谷を挟んだ向かい側の台地に森吉神社避難小屋が見える。やはり、6月の山菜山行であの小屋に泊まったのは何年前だったろうか? いい小屋だったなぁ・・・  アッと言う間に時は過ぎて行く。 
1時間程休憩して下山。天気が回復してきて見晴らしが良くなった。振り返れば上りには見えなかったたおやかな森吉の姿が見える。
 今日も釣りに行く予定。往復に時間がかかり、余裕があまりない。でもこの先何時来れるかわからないし、何があるかもわからない。強引にみんなを誘う。遠藤さんはお留守番。ザックを置いてノロ川へ。1時間くらいと決め、それぞれに散る。急がないと暗くなってしまう、ササッとおかずを調達せねば。今日も忙しいのだ!
 確実に釣れそうな昨日と同じポイントへ。まず、新しい仕掛けを付けなければならない。慣れない作業にもたもた。あ〜時間が無い、早くしなくちゃ! と慌てたのがいけない。やっと付け終え竿を振り上げた途端に、張り出した枝に引っ掛けてしまった。くそ〜 ホントにもう!  やっとはずして、冷静に冷静にとそっと流したはずが今度は根がかり。はずれない、どうしてもはずれない・・・。仕方なく近くまで行って思いきり引っ張ったら、何と竿先がポキっと折れてしまった。あ〜あ〜最悪! 何やってんだろう! 誰にも見られなくて良かった。やっぱり釣り師への道は遠い、遥かに遠い。

 12日最終日、今日は帰るだけ。出発までブナの巨木を見ながらのんびり散歩、極上ワラビの収穫、山々を見ながらコーヒー、と贅沢なひとときを過ごす。
 3日間、余震のストレスも無く山の空気をたっぷりと吸い込んで、ゆったりした気分で過ごせた山行でした。みんなもう若くはなく、重荷を背負っての行動はきつくなりつつあり(もちろん、背負えない訳ではありません)、でもどっぷりと山には浸かりたいなんて時、ここみたいに必要最低限の設備で、かつ快適に整えられたキャンプ場はもってこい。もっと近くにあったらいいのに!