平成23年 山行記録

前穂高・北尾根

 日 程  : 平成23年4月30日〜5月5日
 パーティ : 岩尾、他3名 


 

4月30日 
阿佐ヶ谷で相方にピックアップしてもらい、車で沢渡へ向う。
沢渡の足湯で、皆と落ち合い、足湯に浸かりながらビールなどで懇親を深める。雨が始まった。

 5月1日 雨
タクシーで上高地、残雪は多そうである。通いなれた道をカッパをつけて横尾に着く。ここまでくると、人も大分少なくなる。一本いれてつり橋を渡る。雪が出てきて、例年より多目かな。本谷橋あたりまではほぼ夏道をたどる。ここから雪面をゆく。横尾本谷から涸沢に入り、雨にたたかれて涸沢ヒュッテに到着。売店が雪崩でやられ、幕泊の管理料は自己責任ということで戴きませんという。
早速ビールを手始めに乾杯に入った。

 5月2日 晴れ
北尾根の状況確認のため、5・6のコルへ上がる。けっこうきついアルバイトである。コンテでの滑落停止訓練など交えながら登行する。コルから上高地方面がみえる。5峰にトレールがあり明日のルートの確認をする。雪の付きが多く、明日、奥穂周りで涸沢に下降できるか、一抹の不安を抱く。下降しながらスタンディング・アックス・ビレイをトライする。相方の滑落速度が遅い場合は有効であるが、早い、加速するような状況では、踏みつけているピッケルが抜け、本人が流される事態が発生する。シチュエーションにより、自分ができるビレイ方式をとるべきであろう。

 5月3日 晴れ・曇り
朝の凍結の雪渓を5・6のコルに上がる。ミックスの岩稜を5峰にあがる。奥又側の雪壁を下り4・5のコルにでる。ザイルをつけ4峰を登行する。シュリンゲを要所にセットし、ピッケルを頼りに上部へ、そこから左にまわりこみ、右に雪壁を直上し、リッジにでて、捨て縄のあるピークにでる。3・4のコルへのルートは左の奥又側の雪壁を、バックステップで下降し、トラバースしてコルにでる。3ピッチ、スリルのあるアルバイトである。3峰へは夏のルートをたどる。トップは左上する。風が出てコールの確認がとれなくなってきた。左上し、クラックを上がりトラバースするとビレイポイントである。トップをつるべ式に交代できず、そのまま上がってもらう。ミックスを直上しリッジにでて、右側の雪のつまったガリーにかかる。この凹角部は雪で埋まり、容易にぬける。雪面を上がり3峰にでる。目の前が2峰だが、直上するにはアイゼンでは不安があり、右手涸沢側を下り気味にトラバースし1・2峰のコルにでる。リッジ右手の雪面を1ピッチ、目の前が前穂である。半ピッチで登行終了である。ガスが巻きはじめ、雪が降り出した。吊り尾根や明神が確認できない。ツエルトをかぶり、後続パーテーを待つ。ガスが切れ始め奥穂、明神が望めるので、下降ルートを確認に奥明神沢の状況を見にいく。雪渓が上部までせり上がり、下降できそうである。そのうち後続パーテーが元気に上がってき、無事合流できた。夕刻がせまりすぐ下降にかかる。明神への尾根を下り、雪渓が下方へ続くところから、沢にはいる。右手に行かないように、左下方をめざす。はるか下方に岳沢ヒュッテの明かりが見える。どんどん下るが夕闇がきて、ライトをつけひたすら歩き、デブリの散乱帯までくると、ヒュッテは間近である。ヒュッテはまだ宿泊はできず、天幕と寝袋を借りる。とりあえずビールで無事を乾杯し、温かいカップラーメンを所望する。下は雪でありザック、ザイルなどを敷いて寝袋に入るが、うとうとしながら夜明けを迎えた。

 5月4日 晴れ
涸沢の天幕を回収するため、今日は長い1日になりそうだ。そうそうに上高地に下り、村営食堂で朝飯。横尾から本谷橋、雪渓を涸沢ヒュッテへ。昼飯をとり横尾へ下り、幕営する。

 5月5日 晴れ
途中、明神でグラスワインを美味しく戴き、上高地からタクシーで沢渡、温泉で汗を流し、帰京した。

コースタイム:
  5月1日 沢渡6:30−上高地6:50〜7:00−明神8:00〜15−徳沢9:15〜20―横尾10:25〜45−涸沢14:30
     2日 天場6:50−5・6のコル8:20 下降しながら雪上訓練
     3日 天場5:05−5・6のコル6:30−前穂15:20〜17:05−岳沢ヒュッテ20:00
     4日 岳沢ヒュッテ5:30−上高地6:50〜8:10−明神9:00−徳沢9:55−横尾11:00〜10−
         涸沢14:50〜16:10―横尾18:00
     5日 横尾5:50−徳沢7:00−明神7:50−上高地9:00