平成22年 山行記録

ニュージーランドの山旅

 日 程  : 平成22年1月24日〜2月6日
 パーティ : 岩尾、他7名  


 

山  域: ニュージーランド ミルフォードトラック、マウントオリビエ

1月24日 成田18:30発 ニュージーランド航空NZ090 ≫ オークランドへ。

25日 晴れ
オークランド 9:20着 (時差+4時間)
オークランド12:50 NZ641 ≫ クイーズタウン14:40着
専用車でホテルリッジスへ投宿する。ワカティプ湖に面し景観よく、市街地にあって中心部まで至近である。
17:00アルテメイトハイクス社(トレッキング社)で明日のトレッキング説明会(日本語)に参加(約30分)。
借用できるものなど:シーツ、ザック、レインコート。シーツは携行し就寝時に使用する。着替えなど必要なものは、トレッキング終了点のマイターピークロッジまで届けてくれる。
ディナーは和食レストラン“南十字星”で、明日からの英気を養う豪華な料理で乾杯する。

26日 晴れ
余分な荷物をホテルに預け、歩いてアルテメイトハイクスのあるステーションビルへ行く。今日は総勢42名で、日本人は我々8名と新婚さん2名の10名、ガイドはテアナウで合流した日本人“ノブ“をいれて4名である。
テアナウに向けバスで出発。テアナウのホテルビラで昼食し、テアナウダウンズまでバスで移動する。ここからがトレッキングの始まりである。
クルーズ船でテアナウ湖北端のグレードワーフまで1時間の船旅である。氷河で深くえぐられた谷が湖水となり、水深数百メートルある。グレイドワーフの桟橋にはプラスチックのたらいが二つ、中に消毒用水がためてある。上陸の儀式として靴底をそれに浸し、外部からの異物を取り除く。この国立公園を外来種から保護するための処置と説明があった。これは空港の検疫でも徹底し、バイオセキュリテーと呼んでいる。牧畜を主とする国ならでの政策である。
上陸し、ここからが本番である。皆でぞろぞろ歩き0.8マイル(1.2km)で今日の宿、グレードハウス着。希望者にガイドが周辺のネイチャーウオークを案内する。ロッジのバーが開くのをしびれを切らし、冷えたビールで初日を祝う。水洗トイレ、洗面所、ランドリー、シャワー、乾燥室、食堂などあり、4人部屋でゆったりしている。夕食後、ガイドから明日の説明があり、その後自己紹介を行う。
9:25アルテメイトハイクスセンター 
12:00―13:15テアナウホテルビラ 
13:40―14:00テアナウダウンズ 
15:00−10グレートワーフ 
15:30グレードロッジ

27日 晴れ
サンドイッチ、果物、クッキーなどで各自ランチを作り、8:30出発。ポンポローナロッジに向け三々五々歩き出す。先頭、後尾と中間に2名のガイドを配置し、その日の夕方に着けばよいが、現地のコースタイムである。我々はしっかり歩かないといけない。我々は休憩時以外立ち止まらないようにし、写真などのときも遅れた分追いついてもらうことにした。
ここでのルールを説明しよう。景観の良いところにショートトラックが枝分かれしている。そこにいく場合はザックを分岐に置いておく、そうすればラストのガイドが待っていてくれる。トイレは要所にあるが、どうしてもの場合水辺から15m以上はなれること。ザックを置くルールは同じだが、これがなかなか守れない。
サンドフライが出撃しはじめた。水のあるところに徘徊し、刺して来る。日本のアブより小型で刺されるとひどくなるらしい。アルテメイトハイクスで日焼け止め兼の対策クリームを購入し塗る者、塗らない者様々である。
出発するとクリントン川のつり橋にかかる。許容人数の表示があり、渡る。このトラックの全域で水は飲用できる。川に沿った平坦な道をゆく。6マイル地点あたりのクリントン川合流点から、氷河によって削られたU字谷にはいっていく。この両側の壁は高さ約1200mにもおよび、ズーと続いている。右手の岩壁を落ちるヒレレ滝が近付くと、ランチハットにつき昼食である。同行ガイドによる暖かい飲物のサービスがある。
要所のルートの両側に識別のポールが設置されているが、年間7000mmの地域であり、増水したときにルートを逸脱しないためのものである。歩いていくと先方に、マッキンノン峠らしき鞍部が見え始める。左手にヒドンレイクを見に行く。ここにはザックは置かない。そのまま行けばルートに合流できるからである。泳いでいる女性もいた。
やがて緩やかな登りになり、ポンポローナロッジに着いた。バーが17:00、なんとかしてよと30分前にビールにありつけた。
回りは大岩壁で、登攀すれば何とかルートと命名できるねと、大はしゃぎ。マッキンノン峠に雲が巻いてきた。明日は最も楽しみなマッキンノン峠である。2人部屋であり、早めに就寝する。
8:00グレードロッジ 
12:25−13:00ヒレレランチハット 
14:55ポンポローナロッジ

28日 曇り・小雨・晴れ
7:30に出発。徐々に傾斜が強まり山懐に分け入ってくる。ミンタロ湖をすぎると谷筋が左に湾曲し登りにかかる。南側斜面をジクザクに高度をあげる。樹木が高山帯にかわり、見通しがよくなるともう一息である。上部に記念碑が見え、やがて到着した。ここでガイドから暖かい飲物のサービスを受ける。
これから行く先のアーサー渓谷や見知らぬ山々が氷河を頂いて見渡せる。振り返ると歩んできたクリントン渓谷がうねっている。向こう側下方に今日のねぐらであるクインテンロッジがみえる。
峠上をマッキンノン峠小屋へ移動し、ランチタイムとする。ここから長い下りが始まる。Mtバルーンの斜面をトラバースしながらぐんぐん高度を下げていく。つり橋で大休止していると、後から来た若いアメリカン男女が見たこともない奇妙なリズムで踊り、動画に収めている。担当プロがリクエストしVTRに撮る。ところがMrハンターが踊りの最中にポケットから何かが飛び出し、激流に呑み込まれるのを見たが、我々はあまり気にしなかった。下って行くとハンターが駆け戻ってくる。デジカメが無いという。状況を説明したが、彼は探すといって戻っていった。後で聞いたところ無かったという。
ここはアーサー川の上流で急流をなし、滝の連続になる。それにそって木製の回廊、階段が長く下まで続いている。やがて緩やかになり、つり橋を渡ってクインテンロッジに到着。上部からみたこの場所は、谷底に切り払われた長い空き地が見えた。滑走路であったところで、ヘリ以前は小型飛行機による物資輸送に使われたところである。ロッジはこれに面している。
部屋割り後、元気な者は世界で五番目のサザーランド滝を拝みにいく。往復一時間半である。落差540mの瀑布である。この滝を見るためにミルフォードトラックが切り開かれたのである。山頂部に比較的大きなクイル湖をもつため、すざましい水量である。2名は雨具をつけ、滝つぼの裏側に挑戦し、水爆で視界から消えた。あとからもうひとり続くが、裏側までいかずか、いけずか3人で戻ってきた。観客からジャパニーズ サムライのコール・コールの大合唱。今日も2人部屋でゆったりできた。
7:40ポンポローナロッジ 
9:20ミンタロハット 
12:30−40マッキンノンパス 
15:25クインテンロッジ

29日 晴れ
歩きの最終日であるが、最長の21kmもある。歩きの最終点のサンドフライポイントの船が、午後3時15分と4時である。日本の山でもこれほどの長躯は経験していない。船便にどうしても間に合わせなければならない。歩きを主とし、写真などはなるべく我慢していただく。
ダンプリングハットを経て、ボードシェットで一息入れてつり橋を左岸に渡る。マッカイ滝を見学し、下っていくと右手にMtアダが見えてくる。川幅が広がりアダ湖になる。この辺ではシダが巨大化し大きな葉を広げ、幹が木の様に高く2〜3mを越えるものもある。
ジャイアントゲートハットでランチをとる。あと3、5マイルをがんばって歩く。アダ湖が狭まり水流となると、渇望のサンドフライポイントについた。これで一番の船に乗れると安堵。
ここはミルフォードサウンドという、フィヨルドの奥で海である。船は水路を北に進み、右に回り込みミルフォードサウンドの桟橋に着く。バスでマイターピークロッジまで至近である。このロッジはホテル並みで快適である。マイターピークが写真のように目の前にみえる。夕食は“ノブ”も同席し楽しく語らい、その後ミルフォードトラックの完歩証の授与式が執り行われた。
暗くなってからノブからツチボタル観賞に誘われ、ついていく。いるところにはいて、初めてツチボタルなるものを見た。
7:30クインテンロッジ 
14:45サンドフライポイント

30日 雨のち晴れ
借用したものは返却、飲物の清算、バスに乗せる荷物を預け、必要なものを持つ。勿論雨具とカメラのみである。
雨模様のなか、バスで桟橋へ移動し乗船。途中で入り江などに寄りながら海でUターンするクルーズである。海面から急峻に立ち上がるマイターピーク1683mを見送りながら、船は行く。雨足が厳しくなってきて、眺めの良いはずの前方デッキに出られない。雨煙りで視界があまり利かない。
そのうち両岸の岩壁に雨による滝が出現し始めた。無数の数百メートルと表現できるものばかりである。嫌な雨め、と思っていたがこんなうれしいハプニングとはラッキーである。アザラシが岩の上に戯れていた。とても大きな滝に向けて舳先を突っ込むと全身ずぶ濡れ。これがミルフォードサウンドである。多雨の7000mmなのだと納得した。
戻ってバスに乗り込む頃小雨になり、走り始めると視界が開け、晴れ間もみえる。ホーマートンネルを抜けると晴れている。多湿の空気が西側のフィヨルドから山脈にかけての上昇気流で雨を降らせ、東側には乾燥した空気を送り込むのだそうだ。そういえば説明会でのVTRでは、雨の中トレックするシーンがあった。
テアナウに戻り、バスに揺られてクイーンズタウンのステーション着。歩いてリッジスに投宿。ノブと新婚さんをディナー(中華料理)に招待した。

31日 晴れ
今日はフリータイムで、担当に一任し、まずはアーンスロー号に乗船。1912年製のスクリュー装備の蒸気船で現役である。ワカティプ湖はNZで二番目に長く84km、最深410m。船内は蒸気エンジンや石炭ボイラーなど見学できる。桟橋をでて斜め対岸の、ウオルター・ピーク牧場まで往復2時間のクルーズである。
次はボブズヒルへスカイゴンドラで上がる。そこから展望台まで歩いて上がる。パラグライダーの発進をしばし見学する。ここからはクイーンズタウンの街並み、ワカティプ湖や山々の絶景である。昼食後30分のハイキング。二名はタンデムパラグライダーに挑戦(200ドル)、我々は降下地点まで下り、待つことにする。
待つことしばし上空に一機、また一機と出現、二機そろって舞い始めた。真上にくると太陽でまぶしい。揺らしているのもあり見ていても楽しい。次々と降下し無事帰還した。ところが歩き始めて一名がダウン、パラ酔いである。戦友のもう一名が介抱する。
落ち着くのを待って、キウイ・バードライフパークの見学。国鳥のキウイは飛べなく、夜行性でその部屋は暗くしてあり、目がなれないとキウイが判別できない。開拓時代、食用・狩猟用にうさぎを持ち込んだが、牧草を食べつくす恐れがあり、天敵のいたちを持ち込みんだところ飛べないキウイを襲う始末で、今ではわなを仕掛け駆除している。ミルフォードトラックのいたるところにそれが見られた。外来物は持ち込まないことだ。夕方で時間がなく、急いでまわる。

2月1日 晴れ
予約のバスでマウントクックに向う。観光付バスで、ドライバーが英語で道中の観光案内をし、日本女性がイヤホーンを通して日本語で伝える。ドライバーはよくしゃべる男である。
途中休憩を取りながら昼ごろ、マウントクックビレッジのハーミテージホテルに到着し、チェックイン。そこで昼食し、ハーミテージモーテルにシャトルバスで移動する。ツインで二部屋あり、自炊設備がある。部屋も広く車での旅には良いと思う。
午後はヴィジターセンターなどの見学班と、スキープレーンによる遊覧飛行班に分かれる。皆そろったところで、夕食はハーミテージのアルパインレストランを利用する。

2日 晴れ
モーテル泊の朝は、ハーミテージのレストランまで歩き朝食をる。今日はフッカー谷のトレッキングである。ハーミテージからフッカー谷沿いに進み、ケアポイントへの分岐を右にすすみ平原をゆく。車道を横断しホワイトホースヒル・キャンプ場に出る。そこから進んでアルパイン・メモリアルに上がると、眺めがよい。マウントクックやミューラー湖(氷河湖)が見える。
第一のつり橋で左岸へ、第二のつり橋で右岸へ渡る。小さなアップダウンを繰り返しながら進み小さな流れの橋を渡ると、ストッキング・ストリューム避難小屋にでて、トイレもある。このまま上流に進むとフッカー氷河の末端にあるフッカー湖に出る。今日も好天である。大休止後、往路を戻る。
ビジターセンター下のガイドが経営するレストランで夕食をとる。ボリュームが多く、大変だった。

3日 晴れ
Mtオリビエへ登る。昨日の道をケアポイント方面に向かい、途中から左手に上り始める。U字谷の側面を登るようになり、急角度にルートがあり、ぐんぐん高度をあげる。セアリー・ターンズは平坦で、池が二箇所あり眺望の良いところである。この上から多少傾斜がゆるむが、雪渓が出てくる。上部の稜線がみえ、雪渓上を歩いたりし、ガラ場を慎重に越すと鞍部に飛び出す。
アラオキ・マウントクック3754m、正面にはミューラー氷河をはさんでMtセフトン3158m、その頂稜部の氷河が崩壊し雪崩となり落下し駆け下る様は、圧巻である。ここから見るアラオキ・マウントクックは目が二つと鼻があり、ユーモラスな様相である。
幅広い稜線は岩が累積したところにルートがあり、Mtオリビエへの背後にあるミューラー小屋につく。宿泊と自炊設備があり、小屋番がいる。残念なことにビールなどは置いていない。大休止後下山する。下るのは早くセアリー・ターンズで一本いれて下についた。
ハーミテージで祝杯をあげる。昨日のところで、量を調整し夕食をとる。

4日 晴れ
今日はクライストチャーチへ移動する。シャトルバスでハーミテージへ行き、チェックアウトしバスに乗る。
今日も観光付バスで日本語(日本男性)付である。途中休憩を取りながら、350kmを半日のドライブである。途中にはずっと信号がなく、クライストチャーチ近郊からぼちぼち出てくる。片側一斜線で日本の道路同様だが、制限は100km/hである。クライストチャーチ市街に入り、ホリディインシティーセンターに投宿する。市の中心部にあり至便なところである。日本レストランで夕食をとる。

5日 晴れ
大聖堂の見学とその尖塔へ螺旋階段を上がる。この螺旋階段は本物である。一人の幅しかない鋭い曲線の螺旋をぐるぐる登ると、目が回ってしまいそうである。上から市街が全貌できる。次はトラム(市電)にトライする。旧式の車両を使い市街を一周する。このあとはエイボン川遊びである。船頭がこぐ、ゆったりとした船上は極楽気分。船頭が“カルガモ”というが違うなー? 誤った知識を教えたのは誰!
今日は最終日なので、皆買い物にいそがしい。沢山買い込んで明日の帰国に備える。

2月6日 晴れ
朝4時に専用車に乗り、空港へ向う。日本語アシスト付で昨日のバスの男であった。空港で彼のアシストで無事チェックインし、これで日本に帰れると一安心。機上の人となった。
5:40 NZ500 ≫ 7:00 オークランド
9:15 NZ99 ≫ 16:25 成田へ無事帰国した。
成田で開散し、反省会での再会を約して皆それぞれに帰途についた。

今回の旅は天候に恵まれました。我々が訪問するまでは、雨などで不順続きであったようです。本当にラッキーであると実感できました。ミルフォードサウンドの雨などは神が演出してくれたのでしょうか。
つっかえながら、皆が個性を演出しながら、しかし思い出深い山旅でした。
皆さまご苦労さまでした。